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バーバーが語る薄毛とフェードカットの真実
今回は、数多くの男性の髪の悩みを解決してきたベテランバーバーの田中さんにお話を伺います。薄毛に悩むお客様からフェードカットのオーダーは多いですか。田中さん「ええ、非常に多いですね。昔は薄毛を隠そうとする方が大半でしたが、ここ数年で『隠すより活かしたい』というマインドの方が急増しました。フェードカットは、そのマインドを体現するのに最適なスタイルなんです」。薄毛のタイプによって、提案するスタイルは変わるのでしょうか。田中さん「もちろんです。例えば、M字が進行している方には、サイドの刈り上げを少し高め(ミドルフェード以上)に設定し、前髪を上げるスタイルをお勧めすることが多いです。サイドをタイトにすることでM字の切れ込みがデザインの一部として馴染みますし、視線が上に集まるので薄さが気にならなくなります。逆に、頭頂部、いわゆるO字型が気になる方には、トップをある程度短くした『クロップスタイル』というフェードカットが有効です。トップを短くすることで、薄い部分と周りの髪との長さの差がなくなり、地肌が透けにくくなります。前髪を前に下ろすスタイルなので、生え際の後退も同時にカバーできます」。お客様に伝える上で、心がけていることはありますか。田中さん「デメリットも正直にお伝えすることです。フェードカットは、綺麗なグラデーションを維持するために2〜3週間に一度のメンテナンスが必要になります。また、頭の形がダイレクトに出るので、骨格によっては似合う長さや刈り上げの高さが変わってきます。そうした現実的なお話をした上で、それでも得られる『清潔感』や『自信』といったメリットの大きさを説明します。我々の仕事は、ただ髪を切ることではありません。お客様のコンプレックスを自信に変えるお手伝いをすること。その方の人生が少しでも前向きになるような、そんなカットを提供することが、バーバーとしての使命だと考えています」。
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フェードカットを一日中格好良く保つ方法
バーバーショップで完璧なフェードカットに仕上げてもらったものの、翌朝、自分でスタイリングすると思うように決まらない。そんな経験はありませんか。フェードカットの魅力を最大限に引き出し、一日中格好良く保つためには、いくつかの簡単なスタイリングのコツを押さえることが重要です。その鍵を握るのが、「ドライヤーでの下準備」と「スタイリング剤の選び方」です。まず、シャワーを浴びた後、タオルでしっかりと水気を取ります。ここからが勝負です。ドライヤーを使って、トップの髪を乾かしていくのですが、この時、髪を流したい方向とは逆の方向に向かって、根元から乾かすのがポイントです。例えば、右に流したいなら、まず左に向かって髪をかき上げながら根元に温風を当てます。これにより、髪の根元がふんわりと立ち上がり、ボリュームと動きを出しやすくなります。この下準備を怠ると、どんなに良いスタイリング剤を使っても、時間が経つとぺたんと潰れてしまいます。ドライヤーでのベース作りが8割方終わったら、いよいよスタイリング剤の出番です。フェードカットに最も相性が良いのは、ツヤ感とホールド力に優れた「ポマード」や「グリース」です。マットな質感が好みなら「クレイワックス」も良いでしょう。スタイリング剤を指先に少量取り、手のひらでよく伸ばしてから、髪全体に馴染ませます。この時、毛先だけにつけるのではなく、髪の根元近くからしっかりと揉み込むようにしてつけるのがコツです。最後に、コーム(櫛)を使って、髪を流したい方向にきれいに整えます。クラシカルにびしっと固めたいなら目の細かいコームを、ラフで自然な毛束感を出したいなら目の粗いコームや手ぐしで整えましょう。この一連の作業は、慣れてしまえば5分もかかりません。毎朝のこの一手間が、あなたのフェードスタイルを一日中、最高の状態に保ってくれるのです。
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ボリュームアップを叶えるボブカットの技術
一言で「ボブ」と言っても、そのカットの技術によって仕上がりは天と地ほどの差が生まれます。特に、薄毛をカバーし、自然なボリューム感を出すためには、美容師の高度な技術と緻密な計算が不可欠です。その鍵となるのが、「レイヤー」と「グラデーション」という二つの基本的なカット技法です。これらをどう組み合わせるかが、ボリュームアップの成否を分けます。まず「グラデーション」は、髪の下の部分が長く、上に行くほど短くなるようにカットする技法です。これにより、カットラインに丸みが生まれ、髪が内側に入りやすくなります。後頭部にこの技法を用いることで、絶壁をカバーし、自然な奥行きと高さを出すことができます。これが、いわゆる「ふんわりとした後頭部」の正体です。一方、「レイヤー」は、上の髪が短く、下の髪が長くなるようにカットする技法で、髪に段差が生まれます。これにより、髪全体に動きと軽やかさが出ます。薄毛が気になるトップの部分にレイヤーを入れると、短い上の髪が下の長い髪に乗り、重なり合うことでボリュームが生まれます。髪がぺたんと寝てしまうのを防ぎ、根元から立ち上がりやすい状態を作ることができるのです。理想的なボリュームアップボブは、この二つの技術を巧みに組み合わせることで作られます。例えば、襟足や後頭部はグラデーションで丸みと重みを出し、スタイルを安定させつつ、ハチ上のトップ部分にはレイヤーを入れて軽さと高さを出す、といった具合です。さらに重要なのが、「質感調整(セニング)」です。ただ毛量を減らすのではなく、髪の内側に空間を作るように、必要な部分だけを丁寧に取り除くことで、スタイルに柔らかさと動きが加わり、スタイリングもしやすくなります。これらの技術は、ミリ単位の調整が求められる専門的な領域ですが、このようなカットの原理を知っておくことは、美容師さんとイメージを共有する上で、きっと役立つはずです。