生活習慣の改善やセルフケアだけでは薄毛の進行が止まらない、あるいはより積極的な改善を望む場合、専門クリニックでの治療が有効な選択肢となります。薄毛治療を専門とするクリニックでは、医師による正確な診断のもと、医学的根拠に基づいた様々な治療法が提供されています。代表的な治療法の一つに「内服薬治療」があります。男性型脱毛症(AGA)の場合、5αリダクターゼ阻害薬であるフィナステリドやデュタステリドが処方されることが一般的です。これらは、薄毛の原因となるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制し、抜け毛を減らし、髪の成長サイクルを正常化させる効果が期待できます。また、「外用薬治療」として、ミノキシジル配合の育毛剤が用いられます。ミノキシジルには血管拡張作用があり、頭皮の血行を促進し、毛母細胞を活性化させることで発毛を促す効果があります。内服薬と外用薬は併用されることも多く、より高い効果が期待できる場合があります。さらに、クリニックによっては「注入療法(メソセラピー)」も行われています。これは、髪の成長に必要な成長因子やビタミン、ミネラルなどを、注射や特殊な機器を用いて頭皮に直接注入する治療法です。有効成分をダイレクトに毛根に届けることができるため、内服薬や外用薬の効果を高めることが期待されます。そして、より進行した薄毛に対しては、「自毛植毛」という選択肢もあります。これは、後頭部や側頭部などの男性ホルモンの影響を受けにくい部位から自身の毛髪を採取し、薄毛の気になる部分に移植する外科的な手術です。移植した毛髪は、その後も生え変わり続けるため、根本的な改善が期待できます。これらの治療法は、それぞれにメリット・デメリット、費用、効果の現れ方などが異なります。専門医と十分に相談し、ご自身の薄毛の状態や希望に合った治療法を選択することが重要です。