漢方で考える薄毛の原因!気血水の乱れとは

東洋医学である漢方では、薄毛の原因を「気(き)・血(けつ)・水(すい)」という三つの要素のバランスの乱れから捉えます。これらは私たちの体を構成し、生命活動を維持するために不可欠なものであり、互いに深く関連し合っています。「気」とは、目には見えない生命エネルギーのことで、体を温めたり、内臓の働きを調整したり、外部からの病邪から体を守ったりする役割があります。気が不足した状態を「気虚(ききょ)」といい、全身の機能が低下し、疲労感や倦怠感、食欲不振などが現れます。髪に関しても、気を消耗すると髪を維持する力が弱まり、抜け毛や細毛に繋がると考えられます。また、ストレスなどによって気の流れが滞った状態を「気滞(きたい)」といい、イライラや不安感、胸のつかえなどが生じます。気滞は血行不良を引き起こしやすく、頭皮への栄養供給を妨げる可能性があります。「血」とは、西洋医学でいう血液に近い概念で、全身に栄養を運び、体を潤す働きがあります。血が不足した状態を「血虚(けっきょ)」といい、顔面蒼白やめまい、動悸、爪の異常などが現れます。髪は「血余(けつよ)」とも呼ばれ、血が充実していることで健康な髪が育つと考えられています。そのため、血虚の状態では髪に十分な栄養が行き渡らず、パサつきや抜け毛、白髪の原因になるとされます。また、血の流れが滞った状態を「瘀血(おけつ)」といい、肩こりや頭痛、生理不順などが起こりやすくなります。瘀血も頭皮の血行を悪化させ、薄毛の一因となります。「水」とは、血液以外の体液(リンパ液、汗、唾液など)を指し、体を潤し、老廃物を排出する働きがあります。水の巡りが悪く、体内に余分な水分が溜まった状態を「水滞(すいたい)」または「痰湿(たんしつ)」といい、むくみやめまい、頭重感などが現れます。頭皮に余分な水分が溜まると、毛穴が詰まりやすくなったり、血行が悪くなったりして、髪の成長を妨げる可能性があります。漢方では、これらの気血水のバランスを整えることで、薄毛の根本的な改善を目指します。