長年、全体的に髪のボリュームが減り、特に分け目が目立つようになってきたことに悩んでいました。市販の育毛剤を試したり、美容院でヘッドスパを受けたりもしましたが、なかなか満足のいく効果は得られませんでした。そんな時、友人から「漢方も試してみたら?」と勧められたのです。正直、漢方に対しては「苦そう」「時間がかかりそう」という漠然としたイメージしかなく、半信半疑でしたが、藁にもすがる思いで漢方専門の薬局を訪ねてみることにしました。薬剤師の先生は、私の話をじっくりと聞いてくださり、舌の状態を見たり、脈を測ったりと、いわゆる「四診」を行いました。そして、「あなたは『血虚(けっきょ)』と『気滞(きたい)』の傾向がありますね。血が不足していて、気の巡りも少し滞っているようです。これが髪に十分な栄養が行き渡らない原因の一つかもしれません」と説明してくれました。処方されたのは、血を補い巡りを良くする漢方薬と、気の流れをスムーズにする漢方薬の二種類でした。毎食前に飲むように指示され、最初は独特の風味に戸惑いましたが、続けていくうちに慣れてきました。漢方を始めて最初の1ヶ月は、特に大きな変化は感じられませんでした。しかし、2ヶ月目に入った頃から、まず体調に変化が現れ始めました。以前よりも疲れにくくなり、冷え性が少し改善されたように感じたのです。そして3ヶ月が過ぎる頃、ふと鏡を見ると、以前よりも髪にツヤが出て、心なしか分け目の地肌の透け感が和らいでいるような気がしました。シャンプー時の抜け毛も、少し減ったように感じました。劇的な変化ではありませんでしたが、体の内側から少しずつ変わってきているという実感がありました。漢方治療は、即効性を求めるものではなく、じっくりと自分の体と向き合い、根本から体質を改善していくものなのだと理解しました。今も漢方を続けていますが、髪だけでなく、体全体の調子が良い日が増え、気持ちも前向きになっています。