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ボリュームアップを叶えるボブカットの技術
一言で「ボブ」と言っても、そのカットの技術によって仕上がりは天と地ほどの差が生まれます。特に、薄毛をカバーし、自然なボリューム感を出すためには、美容師の高度な技術と緻密な計算が不可欠です。その鍵となるのが、「レイヤー」と「グラデーション」という二つの基本的なカット技法です。これらをどう組み合わせるかが、ボリュームアップの成否を分けます。まず「グラデーション」は、髪の下の部分が長く、上に行くほど短くなるようにカットする技法です。これにより、カットラインに丸みが生まれ、髪が内側に入りやすくなります。後頭部にこの技法を用いることで、絶壁をカバーし、自然な奥行きと高さを出すことができます。これが、いわゆる「ふんわりとした後頭部」の正体です。一方、「レイヤー」は、上の髪が短く、下の髪が長くなるようにカットする技法で、髪に段差が生まれます。これにより、髪全体に動きと軽やかさが出ます。薄毛が気になるトップの部分にレイヤーを入れると、短い上の髪が下の長い髪に乗り、重なり合うことでボリュームが生まれます。髪がぺたんと寝てしまうのを防ぎ、根元から立ち上がりやすい状態を作ることができるのです。理想的なボリュームアップボブは、この二つの技術を巧みに組み合わせることで作られます。例えば、襟足や後頭部はグラデーションで丸みと重みを出し、スタイルを安定させつつ、ハチ上のトップ部分にはレイヤーを入れて軽さと高さを出す、といった具合です。さらに重要なのが、「質感調整(セニング)」です。ただ毛量を減らすのではなく、髪の内側に空間を作るように、必要な部分だけを丁寧に取り除くことで、スタイルに柔らかさと動きが加わり、スタイリングもしやすくなります。これらの技術は、ミリ単位の調整が求められる専門的な領域ですが、このようなカットの原理を知っておくことは、美容師さんとイメージを共有する上で、きっと役立つはずです。