AGAレーザー治療とは?その基本的な仕組み
AGA(男性型脱毛症)の治療といえば、内服薬や外用薬が主流ですが、近年、これらとは全く異なるアプローチで発毛を促す「レーザー治療」が、新たな選択肢として注目を集めています。これは、低出力の特殊なレーザー光を頭皮に照射することで、髪の成長をサポートする治療法で、「低出力レーザー治療(Low-Level Laser Therapy、略してLLLT)」とも呼ばれます。この治療法の核心は、薬物を使わずに、光のエネルギーを利用して、細胞そのものを活性化させるという点にあります。AGAレーザー治療で用いられるのは、主に波長が650ナノメートル前後の「赤色光」です。この特定の波長の光は、皮膚の深層部、すなわち髪の毛を作り出す毛母細胞や毛乳頭が存在する領域まで到達する性質を持っています。そして、この光エネルギーが、細胞内のエネルギー産生工場である「ミトコンドリア」に作用し、ATP(アデノシン三リン酸)の産生を促進すると考えられています。ATPは、あらゆる細胞が活動するための、いわば“通貨”のようなエネルギー源です。その産生が活発になることで、これまでAGAの影響で活動が低下していた毛母細胞が、再び力強く細胞分裂を始めることを促します。これにより、ヘアサイクルにおける「成長期」が延長され、細く弱々しかった髪が、太く健康な髪へと成長していくことが期待されるのです。また、レーザー照射には、頭皮の血行を促進する効果も報告されています。血流が改善されれば、髪の成長に必要な酸素や栄養素が毛根に届きやすくなり、これもまた、発毛を後押しする要因となります。薬のようにホルモンに直接作用するわけではないため、副作用のリスクが極めて低いことも、この治療法の大きな特徴です。