薄毛対策を真剣に考える上で、ヘアケア用品の正しい知識を持つことは避けて通れません。その中でも特に誤解が生じやすく、トラブルの原因となりがちなのがトリートメントの取り扱いです。一般的に、リンス、コンディショナー、トリートメントと呼ばれる製品群は、髪の毛そのものをケアするために作られています。主成分はカチオン界面活性剤や各種オイル、シリコンなどのコーティング剤であり、これらは髪の表面を滑らかにし、ダメージを補修する役割を果たします。しかし、これらの成分は頭皮、つまり生きた皮膚細胞にとっては、必ずしも有益なものではなく、むしろ刺激物となる場合があることを認識しておく必要があります。美容室などで、美容師さんがトリートメントは毛先を中心につけてくださいねとアドバイスするのは、単に無駄遣いを防ぐためではありません。トリートメント剤が頭皮に付着すると、強力なコーティング作用によって毛穴を覆ってしまうリスクがあるからです。健康な髪を育てるためには、毛穴が清潔で、皮脂や汗がスムーズに排出される環境が必要です。しかし、トリートメントの油分が毛穴に詰まると、それが酸化して過酸化脂質となり、毛根にダメージを与えたり、炎症を引き起こしたりします。頭皮の炎症は抜け毛の直接的な原因となり得るため、薄毛を気にする人にとっては絶対に避けたい事態です。さらに、カチオン界面活性剤は、髪への吸着性が高い反面、皮膚への吸着性も高く、殺菌作用やタンパク変性作用を持っています。これが敏感な頭皮に触れると、人によっては痒みや赤み、フケなどの原因になります。フケが増えると、それが毛穴を塞ぎ、雑菌の繁殖を招くという悪循環に陥ります。薄毛改善のために頭皮環境を整えようとしているのに、毎日のトリートメントがその妨げになっていては本末転倒です。したがって、通常のトリートメントを使用する際は、地肌には絶対につけないという強い意識を持ってケアを行うことが重要です。ただし、近年ではスキャルプトリートメントや頭皮用トリートメントと明記された、頭皮につけることを前提とした製品も登場しています。これらは頭皮の保湿や血行促進を目的としており、ノンシリコンで肌に優しい成分で作られていることがほとんどです。もし、頭皮の乾燥が気になり、地肌からケアをしたいのであれば、必ず頭皮用と書かれた専用の製品を選ぶようにしましょう。